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誰の話を聞くか

まがい物を外す3つの見方

手法を探す前に決めることがあります。誰の話を聞くかです。 ここを間違えると、そのあとの努力が全部無駄になります。 そして残念ながら、まがい物のほうが数が多い。

1. 聞く相手を間違えると、全部無駄になる

同じ本を読み、同じ時間をかけても、結果が分かれます。 差がつくのは能力ではなく、誰の話を土台にしたかです。

間違った相手の話でも、聞いている間は前に進んでいる感じがします。 気づくのは、金と時間を使い切ったあとです。だから最初に決めるべきなのは、 何をやるかではなく、誰の話を聞くかになります。

2. 自分がやろうとしていることを、すでにやっている人

答えは単純です。これからやろうとしていることを、いま実際にやっている人の話を聞く。 それ以外はすべて伝聞です。

ただし、ここに落とし穴があります。業種が同じでも、型が違えば当てはまりません。

分野やっていること
不動産保有型買って貸し、家賃で回す
転売型買って直して売る
物販せどり型小売から買って売る
卸仕入れ型問屋から仕入れて売る
製造型自分で作って売る

必要な資金も、時間の使い方も、出口も別物です。 転売型の人が「1年でこれだけ増えた」と言うのは事実でも、 家賃で持ちたい人が真似すると資金が回りません。回転を前提にした話だからです。

「その分野で成功している人」では足りない。
自分と同じ型でやっている人でなければ、当てはまらない。

3. まがい物を外す、3つの見方

本物とまがい物は、話の中身ではなく、話の外側で見分けられます。 以下の3つは、説明会でも本でも動画でも、同じように使えます。

その1 収入がどこから出ているか

いちばん強い判定です。教えることで稼いでいる人は、教えている商売とは別の商売をしています。

これは非難ではなく、構造の話です。物販の利益率は十数パーセント、 情報を売る商売はほぼ全部が利益として残ります。同じ売上なら、教えるほうが手元に残る。 合理的に選んだ結果、教える側に移っただけです。

問題は、その人がいま実際にやっているのは「教える商売」だということです。 数年前にやっていた商売の話を、いまも通用するかのように語ることになります。

その2 どんな数字を使うか

使う数字の種類で、その人が本当にその商売を回しているかが分かります。

その人が使う数字
不動産 保有型利回り・空室率・返済比率
不動産 転売型仕入値・改修費・売却益
物販 卸仕入れ型粗利率・回転・在庫
教える側の人売上・年商・受講生の実績

売上しか言わない人は、どの型でもありません。 利益の話ができないということは、その商売を回していないということです。 売上と利益を分けずに話すのは、規模を大きく見せたいときの言い方です。

その3 失敗した条件を言うか

実際にやっている人は、うまくいかない場面を必ず知っています。 「この条件では合わない」「このやり方は使えなくなった」と自分から言えるかどうか。

成功例だけを並べる人は、検証していないか、選んで見せています。 本物ほど、自分の手法の限界に詳しい。

4. 本も同じ物差しで測れる

本は、人の話が紙になったものです。同じ3つの見方が使えます。 そのうえで、もう1つ足せる基準があります。

10年以上たって、まだ読まれている本。

勝ち方を書いた本は、効かなくなった時点で読まれなくなります。 長く残っている本は、賞味期限のあることを書いていないという証拠になります。

方法の本と、考え方の本

ここから先で、書名に金額が入った本を挙げます。 本文では「帯に金額が書いてある本は見なくていい」と書きたくなるところですが、 それだと粗すぎます。見分けるのは書名ではなく中身です。

書名は出版社が付けます。中身で判断してください。

5. 実際に手元に残った本

読んで、いまも役に立っている本だけを挙げます。読んでいない本は挙げません。

考え方の棚

稼ぎ方は書いていません。書いてあるのは、どういう捉え方で世の中を見ているかです。 だから古びません。

この4冊は、本記事の判定に引っかかります

キヨサキ氏の収入の中心はセミナーと教材です。上に書いた「その1」でいえば、教える側に分類されます。 評判が割れるのも事実です。

それでも挙げるのは、方法ではなく捉え方の本だからです。 具体的な稼ぎ方はほとんど書かれていません。書かれているのは、資産と負債をどう定義するか、 自分がどの立場で稼いでいるかという枠組みだけです。 25年以上読まれ続けているのは、賞味期限のあることを書いていないからだと考えています。

上岡氏の本も同じです。書名に金額が入りますが、1億円を稼ぐ手法の本ではなく、 1億円を稼ぐ人間がどう考えているかの本です。

道具の棚

自分で計算し、自分で検証できるようになる本です。 このサイトの主張は「自分で数字を確かめろ」なので、こちらが本命になります。

この2冊の手法が、いま通用するかは分かりません

夕凪さんの本は2009年です。取引はこの十数年で高速化し、同じイベントを狙う人の数も変わりました。 沢さんの本は2006年で、融資の姿勢も金利も当時とは違います。

同じルールを回して同じ結果が出る保証はありません。 手法には賞味期限があると書いたとおりで、この2冊も例外ではありません。

それでも挙げるのは、手法そのものではなく確かめ方が身につくからです。 ルールを決めて過去に当て、成績を測り、通用しなくなったら捨てる。 数字を並べ、合わなければ買わない。その手順は古びません。

書いてある通りにやるためではなく、自分の手法を作って検証するために読んでください。

投資分野では、パンローリングと日経BPの書籍に当たりが多い印象です。 どちらも、手法の紹介より検証と考え方に紙面を割く本が多いためだと思います。

6. 結局、いちばん確実な方法

ここまで「誰の話を聞くか」を書いてきましたが、本当のことを言えば、 探し続けるより、自分がその一人になるほうが早いです。

やり方は決まっています。

小さく始めて、大きく育てて、できる限り上流へ移る。

上流とは、利益の出どころが自分の内側にある場所のことです。

分野下流上流
物販小売から買って売る仕入先を持つ/自分で作る
不動産サブリース(一括借り上げ)自分で貸す/直して価値を足す
情報他人の情報を売る(アフィリエイト)自分でデータを持つ/自分で書く

誤解のないように書いておくと、下流が悪いのではありません。 誰でも下流から始めます。問題は良し悪しではなく、利益率です。

下流は、利益の源泉が他人の都合で決まります。販促の予算、他人がまだ知らない仕入先、相場の地合い。 どれも向こうの都合で消えるので、手元に残る割合が小さくなります。 上流へ行くほど、同じ売上で残る額が増えます。

実際に測った差

物販の記事に、同じ年・同じ場所で売った数字を出しています。 小売から仕入れて売った分は、経費を引くとマイナス1.2%でした。 一方、卸から仕入れた分だけを取り出すとプラス26.5%です。

同じ人間が、同じ手順で売っています。違うのは仕入先が一段上流だったことだけです。 上流ほど稼げる、というのはこの差のことです。

持っているのに下流、という形がある

サブリースが分かりやすい例です。建物は自分のものですが、 いくらで貸すかも、誰を入れるかも、決めるのは借り上げる側です。 オーナーは名義だけで、実際の商売は相手が回しています。

保証賃料は改定されます。空室が増えれば下げられ、断れば解約されます。 「家賃保証」と呼ばれていますが、保証しているのは金額ではなく、 相手が決めた金額を受け取る立場のほうです。

持っていれば上流、ではありません。値段を自分で決められるかどうかが境目です。

上流へ移るのに要るものは、時間 × 資金です。足し算ではなく掛け算で、 片方が小さければ、もう片方で埋められます。

どちらでも上流には届きます。届かないのは、両方を出さない場合だけです。

資金がないなら、時間を使え。
時間がないなら、資金を使え。
どちらも出さずに上流へ行く道は無い。

だから小さく始めるのが前提条件になります。資金が少ない側から入るなら、 大きく張った時点で、時間を使う余裕そのものが無くなるからです。

そして、スクールが売っているのは「どちらも要らない」という話です。 元手ゼロで、未経験から、短期間で。資金も時間も出さずに上流に立てると言っています。

積がゼロのものは、掛けてもゼロにしかなりません。だから嘘になります。

このサイトは、まだ何も売っていません

広告もアフィリエイトのリンクもありません。上に挙げた本にも、紹介料の付いたリンクは張っていません。 書名だけです。

置かない理由は、下流だからです。上の表のとおり、 情報の分野でいちばん下流は他人の情報を売ることで、書籍の紹介はそこに当たります。 悪いことではありませんが、利益率は数パーセントです。

このサイトの上流は、他所から買えない自分のデータを持つことです。 店舗一覧を毎週数えた記録は、まだ数か月分しかありません。1年分たまるまで売り物にはならないので、 いまは時間で埋めている最中ということになります。

1年後にこの箱の文章が変わっていなければ、それは上流へ移れなかったということです。

7. そして、動く

誰の話を聞くかを決めたら、あとは1つだけです。

動け。失敗しろ。修正しろ。また動け。

読んでいる間は何も起きません。小さく動けば、失敗も小さく済みます。 小さい失敗は、次にどう直すかが分かる形で返ってきます。

必ず1日に1回は失敗する

失敗の数を減らそうとすると、動く回数が減ります。動く回数が減れば、 分かることも減ります。目標にすべきは、失敗を減らすことではなく、 1日1回は失敗する程度に動くことです。

失敗しない人間というものは、実は1種類しかいません。何もしない人間だけです。 何もしていなければ、失敗は起きません。代わりに、何も分からないままになります。

スクールで学んでいる間は、失敗が起きません。だから安心できます。 けれど安心しているということは、まだ何も試していないということです。

小さく始めて、毎日どこかで失敗して、直して、また動く。 それを繰り返した先にしか「すでにやっている人」はいません。 そして気づいたときには、誰かにとってのその一人になっています。