チラシもネットも、自分で数字を持って使いましょう。チラシを入れる新聞は、25年で半分になりました。
売上が思ったほど上がらないとき、本部に相談すると、返ってくる答えはだいたい決まっています。 チラシを出してください、今は我慢のときです。
チラシそのものを否定するつもりはありません。ただ、いくらかけて、何件取れば元が取れるのかを 自分で計算してから撒くのと、言われたまま撒くのとでは、残るお金が違います。
チラシを撒くには、1回あたり十数万円から数十万円かかります。 最初のうちは本部の言うとおりに借りているので、払えます。問題はその先です。
反響率は低いです。20万円かけて注文が1件か2件、ということはざらに起きます。 客単価5,000円のマッサージ店で、そのまま計算してみます。
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| チラシ1回 | 20万円で注文1〜2件 | 1件あたり10〜20万円 |
| 客単価と比べる | 1件5,000円 | 1件取るごとに9.5〜19.5万円の持ち出し |
| 5回撒く | 20万円 × 5回 | 広告費 100万円 |
| 取り戻すのに必要な件数 | 100万円 ÷ 5,000円 | 200件 |
| 月25日でこなすなら | 200件 ÷ 25日 | 1日8件 |
| 実際にこなせる件数 | 1件1.5時間・1日8時間 | 1日5件 = 月125件 |
| 足りない分 | 200件 − 125件 | 75件 |
広告費を取り戻す前に、体のほうが先に限界に来ます。 1日8件が必要なのに、施術の前後の片付けや受付を入れると1日5件が上限です。 月を丸ごと使っても125件。200件には届きません。
しかも、この200件には家賃もロイヤリティも自分の生活費も入っていません。 材料を使う商売なら、広告費は材料費を引いたあとの粗利から払うので、必要な件数はさらに増えます。
反響率が上がらない限り、チラシを続けるほど穴は深くなります。 「今は我慢のとき」と言われたら、何件の反響で元が取れるのか、その件数を自分の体でこなせるのかを、自分で計算してください。
ここまではチラシの費用の話でしたが、そもそもチラシを挟む先の新聞が減り続けています。
出典:日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」pressnet.or.jp。各年10月時点、朝夕刊セットは1部として計算。
世帯数はこの間に4,741万から5,895万へ増えています。家は増えて、新聞は半分になりました。 同じ枚数を撒いても、届く家は年々減っていきます。 しかも配られている部数は、公称の数字よりさらに少ないというのが、販売店で聞く話です。
これから始める人は、ネットでの集客が必ず必要になります。 年配のお客様はネットを使わない、という前提は、もう成り立ちません。 総務省の調査では、60代の87.0%、70代の67.5%がスマートフォンを持っています。
| 年齢 | スマートフォンを持っている割合 |
|---|---|
| 20代 | 94.6% |
| 50代 | 94.9% |
| 60代 | 87.0% |
| 70代 | 67.5% |
| 80歳以上 | 30.7% |
出典:総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(世帯編)」図表8-2(個人・年齢階層別) soumu.go.jp。 インターネットの利用率は13〜69歳の各年齢階層で9割を超えています。
先日も、70代の女性に名刺を渡したら、その場で店名を検索し始めました。 QRコードのほうが早いですよと、こちらが教えてきたところです。もうそういう時代です。
チラシを否定するつもりはありませんが、チラシだけで回そうとすると、年々きつくなっていきます。
ここからは公表された数字ではありません。加盟店として見てきた話です。
大手のフランチャイズほど、ネットからの集客は本部がまとめて行っています。 そこで取れた注文を加盟店へ割り振る仕組みで、その手数料が売上から引かれます。 「客送」と呼ばれる形です。そしてロイヤリティは、それとは別に引かれます。
率は売上の15%から30%程度です。 10万円の注文が本部から回ってきた場合で並べます。
| 本部から来た注文 | 手数料15%なら | 手数料30%なら |
|---|---|---|
| 売上 | 100,000円 | 100,000円 |
| 客送の手数料 | −15,000円 | −30,000円 |
| 手元に残る | 85,000円 | 70,000円 |
| ここからさらに | ロイヤリティ・材料費・移動費・自分の生活費を引く | |
注文が向こうから来るのは、始めたばかりのころはありがたく感じます。 ただ、自分で客を集められないままだと、売上の2割から3割を毎回渡し続けることになります。 しかもその注文は、本部が止めればその日から来ません。
自分で取った注文なら、この手数料は引かれません。 ネットの集客は、自分の側に持っておいたほうがいい。 チラシの反響が落ちていくぶんを、どこで埋めるのかという話です。
※送客手数料の率を公表している本部は見当たらず、業界の統計もありません。 ここに書いた15%から30%程度というのは、加盟店として見聞きしてきた範囲の数字です。
本部から回ってくる注文は、本部の客です。 自分の名前で検索されて、自分の電話が鳴る。その状態を、始める前から作っておく必要があります。