増やす資産ではなく、守る資産
私は金の積立を、もう10年以上続けています。現在も、高配当株と並んで積み立てている資産です。ただし金現物は、会社の株とは役割が違います。
金は、一度に大きく買って短期売買しているのではありません。少しずつ積み立てる方法を10年以上続け、現在も継続しています。
保有期間が長くても、金の価格が保証されるわけではありません。長く持っている事実と、これから必ず値上がりするという話は分けて考えます。
実際に私がやってきたのと同じやり方を、数字で置き直してみます。2008年10月から毎月5,000円ずつ、2026年10月12日まで216回。買値は田中貴金属の月ごとの参考小売価格に、その時の消費税を足したものです。評価額は、いま売ったら受け取れる買取価格で出しています。
| 時点 | 積立元本 | 評価額 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 2013年12月 | 315,000円 | 346,170円 | 1.10倍 |
| 2016年12月 | 495,000円 | 546,467円 | 1.10倍 |
| 2019年12月 | 675,000円 | 870,721円 | 1.29倍 |
| 2022年12月 | 855,000円 | 1,518,588円 | 1.78倍 |
| 2026年9月 | 1,080,000円 | 4,622,727円 | 4.28倍 |
2026年10月12日時点。手数料と保管料は含めていません。最終的な保有量は196.2グラムです。
ここで注意してほしいのは、増えた時期が偏っていることです。2013年から2016年までの4年近くは1.1倍前後で止まったままでした。18年のうち大きく動いたのはここ数年で、金が強い期間にたまたま重なっただけです。同じ18年を別の時期で切れば、結果はまったく変わります。
これは過去をなぞった計算であって、これから同じようになるという話ではありません。次の章のとおり、金そのものは何も生みません。
100グラムの金を10年持っても、100グラムのままです。株なら会社が利益を積み上げ、配当を出す可能性があります。しかし、金現物から配当や利息は出ません。
利益が出るのは、買った価格より高く売れたときです。短期の値上がりを当てにいけば、金でも投機になります。
金には販売価格と買取価格があり、その差があります。買った直後に売れば、その差だけで損失になることがあります。手数料、小口の加工費、送料、保管費も確認が必要です。
| 買う前に確認すること | 確認する理由 |
|---|---|
| 販売価格と同時点の買取価格 | 値上がり前に埋める必要がある差を知る |
| 現物引渡しか、業者の保護預りか | 自分が何を所有し、どこにあるかを知る |
| 保管料と保管方法 | 盗難、紛失、業者の信用リスクを分ける |
| 買取条件と必要書類 | 売りたいときに売れるかを確認する |
現物を自分で受け取る方法もあれば、業者に預ける方法もあります。業者へ預けるなら、現物が手当てされているか、残高の通知があるか、現物を引き出せるか、買い戻し条件は何かを契約書で確認します。
金融庁も、金価格について断定的な判断を示す勧誘、損失補償、短期間の頻繁な売買を勧める行為を認めていません。「必ず上がる」「預ければ配当が出る」という話には待ったをかけます。
金現物を持つなら、生活費や毎月の収入を作る目的ではなく、株や通貨とは違う値動きをする資産として考えます。全財産を金へ変えるのではなく、何から守るために、資産全体の何%を持つのかを先に決めます。
金は、持っているだけで収入を生む資産ではない。
値上がりを急ぐのではなく、資産を分けて守るために使う。