売上ではなく、利益と収入源を見る
大勢へ教えられる手法は、すでに大勢が使える手法です。そこでどうやって高額な教材や講座を売るのか。典型的な流れを数字で分解します。
3番目が肝です。教わる手法は、生活が成り立つほどは稼げないが、体験談が1本書ける程度には動くことがあります。だから嘘とも言い切れず、受講者自身にも構造が見えにくくなります。
私も、ある物販講師から「売れる商品」のリストを購入したことがあります。当時は、講師が選んだ利益商品を買えるのだから、自分で探す手間を省けると思っていました。
ところが後になって、別の卸業者から似たような商品リストが届きました。比べてみると、講師から販売されていた同種商品のほうが、卸業者の提示価格より数パーセント高かったのです。
確認できた事実は、この価格差までです。講師や卸業者の在庫状況、両者の契約までは見ていないので断定はできません。
ただ、いま振り返れば、講師自身が抱えた在庫、あるいは卸業者が抱えて困っていた在庫を、囲われた生徒へ販売する仕組みだった可能性が高いと考えています。少なくとも、生徒だけが得をする商品リストではありませんでした。当然値崩れしましたw
生徒が儲かる商品リストなのか。
売る側が在庫を処分しやすくする、買い手のリストなのか。
| 売り文句 | 年商にすると | 私の実測を当てると |
|---|---|---|
| 月商¥100万円 | ¥1,200万円 | 営業利益-1.2%なら手元はマイナス |
| 月商¥10万円 | ¥120万円 | 粗利30%でも送料と手数料でほぼ残らない |
どちらも売上です。利益ではありません。なぜ売上で語るのか。利益で言うと、売り文句にならないからです。
私の実測では、年商¥700万円で営業利益はマイナスでした。「月商¥100万円」は言えても、「月の手取り¥2万円」では誰も申し込みません。
広告を見たら、それが売上か利益かを確かめます。利益が書かれていないなら、書けない理由があると考えたほうが早いです。
大型量販店(超有名な倉庫店舗)から仕入れる店舗せどりで年商¥1億ほどを回す人が、物販のオンラインサロン内で語っていた経常利益率は1~3%。金額にすると年¥100万~¥300万円、月¥8万~¥25万円。でも物販講師をメインにしているので、困らないとのことでした。
さらに、年商¥10数億のメガセラーも、手元に残るのは約3%と話していました。
| 年商 | 手元に残る率 |
|---|---|
| ¥700万円(私の実測) | -1.2% |
| ¥1億 | 1~3% |
| ¥10数億 | 約3% |
規模が100倍以上になっても、率は数パーセントのままです。規模は利益率を変えません。変えるのは仕入先と、自分の商品を持っているかどうかです。
率は上がらなくても、金額は増えます。¥10数億の3%なら年¥3,000万円を超え、立派な商売です。ただし、そのためには¥10数億分の商品を回す資金、人手、倉庫、仕組みが必要です。
これは率で稼ぐのではなく、量で稼ぐ形です。「一人で」「元手をかけずに」という条件とは両立しません。
年商¥1億と¥10数億の数字は、オンラインサロン内で本人から直接聞いた申告値です。帳簿は確認していないため、その点を差し引いてください。
年商¥1億を回しても利益率が1~3%なら、YouTubeや物販スクールへ移るのは合理的です。そして募集時には、スクールの収入ではなく、物販の年商¥1億が語られます。
嘘とは限りません。ただし、その人がいま実際に稼いでいる商売は、教えている商売ではない可能性があります。
かんたん = 誰でもできる = すぐに人が集まる = すぐに稼げなくなる
参入障壁がないから、教われば誰でも同じことができます。そして同じ仕入先に人が群がり、価格が下がって粗利が溶けます。かんたんであること自体が、賞味期限の短さを表しています。
逆に、手間がかかる、資金が要る、覚えることが多いものは、参入する人が少ない分だけ長持ちします。ただし募集の言葉としては弱いため、まず使われません。
この商売がもっとも儲かる相手は、その分野の判断材料を持っていない人です。
| 初心者側の条件 | 売る側にとっての効果 |
|---|---|
| 中身の良し悪しを判定できない | 教材に金をかけなくてよい |
| 他と比較できない | 相場ができず、値下げ圧力がない |
| 稼げなくても自分のせいだと思う | 返金要求やクレームが来にくい |
| 小さな成功で強く感謝する | 本人が宣伝役になり、集客費が下がる |
普通の商売は、期待外れなら客が怒ります。この商売では「努力が足りなかった」と、客のほうが引き受けてしまうことがあります。期待に届かなくても、売る側にコストが発生しにくい構造です。
裏返せば、目利き相手の商売は簡単ではありません。「未経験者歓迎」「知識ゼロから」という言葉は、優しさだけでなく、誰を顧客に選んでいるかという面からも読みます。
本当に有効なら、価値が分かる経験者も買うはずです。募集ページに「未経験から」ばかりが並ぶなら、経験者に売れないものを未経験者に売っている可能性を考えます。
全員が同じ先から仕入れるなら、その先はもう終わっています。「仕入先は教えず、探し方を教える」という答えなら、利益の源泉は渡さないと明言しているのと同じです。