新しい相手とは、小さな取引から始めよう
下請けとして工事を引き受け、約¥10万円の代金が払われませんでした。 催促し、内容証明を送り、少額訴訟まで起こしましたが、回収はできませんでした。 裁判をすればお金が戻る、とは限らないという話です。
相手は、何でも屋をしている個人の業者でした。その業者が受けた工事を、私が下請けとして引き受けました。 相手とは一度も会ったことがありません。やり取りは、見積もりから指示まで、すべてLINEでした。
| 順番 | 起きたこと |
|---|---|
| 1 | 工事を終えて、その日に引き渡した。代金は約¥10万円、支払いの期限はその月のうち |
| 2 | 期限のあと、LINEで3回催促した。払うという約束は守られず、そのうち既読もつかなくなった |
| 3 | 数か月たって、内容証明を送った。「宛先不明」で戻ってきた |
| 4 | 求人サイトに載っていた住所へ、もう一度内容証明を送った。不在で持ち帰られ、保管期限が切れて戻ってきた |
| 5 | 簡易裁判所に少額訴訟を起こした。工事の写真、見積書、請求書、入金のない通帳、戻ってきた内容証明を証拠に付けた |
| 6 | 訴状が相手に届かず、裁判所から戻ってきた。住民票を取ると、住所は同じままだった |
| 7 | 訴えを取り下げ、回収をあきらめた |
証拠はそろっていました。それでも回収できなかった理由は、お金の話ではなく手続きの話です。
| 分かったこと | 中身 |
|---|---|
| 訴状が届かないと、裁判が始まらない | 相手が受け取らなければ、住所を調べ直したり、別の送り方を申し立てたりする手間が増える |
| 続けるほど、費用と時間がかかる | 裁判所から、続けるならさらに費用がかかると言われた。仕事の時間も削られる |
| 勝っても、お金が戻るとは限らない | 判決は「払え」という決定にすぎない。相手に差し押さえられる財産がなければ、回収はできない |
約¥10万円のために、この先も費用と時間をかけ続けるかどうか。そこで取り下げを選びました。
裁判は、取り返すための最後の手段であって、確実な手段ではない。
払われないことを、取引の前に防ぐほうがずっと安い。
この件のあとから、支払いの仕方で相手を3つに分けて見ています。払い方は取りつくろえません。言葉より確かな目印です。
| 払い方 | 見方 |
|---|---|
| 前払いをしたがる。納品したら、まず払う | いちばん信用できる相手。お金を先に出すことを恐れない |
| 期日には払うが、催促や確認が要る | 取引してよい。様子を見続ける |
| 支払いを知らなかったことにする。先延ばしにして払わない | 取引しない |
| 決まり | 理由 |
|---|---|
| 新しい相手とは、小さな取引1件から始める | 小さな額なら、普通の人は普通に払う。だからこそ、払い方に素が出る。授業料も安い |
| 新しい相手からは、前金か着手金をもらう | 後払いは、払われなかったときに取り返すのが難しい |
| 大手のマッチングサイトに関係する、業者どうしの仕事は、基本的に前金にする | 相手と顔を合わせないまま、取引が始まる |
| 見積書と請求書を、必ず書面で出す | 裁判になったとき、それが証拠になる |
| 催促は電話でなく、書面かLINEで残す | 口だけのやり取りは「言った、言わない」になる |
| 払わなかった相手からの仕事や頼みごとは、次からはできるだけ断る | 貸したお金でも、仕事の代金でも同じ |
どれか1つでも当てはまったら、前金をもらうか、取引しません。
相手がどんな人かを見抜こうとするより、払われなくても困らない仕組みにしておくほうが確実です。