貸すのは、返ってこなくても困らない額まで
商売を始めるとき、先に同じ分野で独立していた先輩に相談していました。 その先輩にお金を貸して、返ってこず、最後は自分で動いて回収しました。 話を聞く相手として間違っていないと思っていた人との話です。
先輩は、私がこれから始めようとしていた分野で、先に独立していました。 すでにやっている人だったので、相談する相手として正しいと思っていました。
その先輩から、お金を貸してほしいと言われました。 「たまたま今は手元に資金がないが、売上はもう立っている。来週には返せる」。 そう言われたので、貸しました。
しかし、1年たっても返ってきませんでした。結局、私が自分で動いて回収しました。
先輩からは、こんな話も持ちかけられました。
| 順番 | 先輩の話 |
|---|---|
| 1 | 私が現金で払い終えている約¥100万円分の商品を、 |
| 2 | あらためて、私のカードの分割払いで買ったことにする |
| 3 | カード会社から店に、代金がまとめて入る |
| 4 | 私はカード会社に、毎月分割で払う |
| 5 | 店は私の口座に、毎月その支払い分を振り込む |
つまり、私のカードの利用枠を使って、店がお金を工面するという話です。
カードの名義は私です。店からの振込が止まっても、カード会社への支払いは私に残ります。 危ない橋を渡るのは、私のほうです。これは断りました。
断ったのは、公認会計士をしている大叔父に相談したからです。私に株を勧めてくれた、あの大叔父です。 「その人とは付き合ってはいけない」と言われました。
大叔父に勧められて株を始めた話は 株|私が儲かったのはたまたまです に書いています。
払い終えている商品を、カードで買ったことにして売上を作る。これは、実体のない売上でカード会社からお金を受け取ることです。 カード会社をだますことになり、詐欺罪(刑法246条)に問われるおそれがあります。
話に乗った名義人も、責任を問われる危険があります。支払いの義務も、名義人に残ります。 「迷惑はかけない」と言われても、カードや名義は貸さないでください。
出典:刑法第246条(e-Gov法令検索)/ 武雄市 クレジット契約のトラブルにご用心!/ 富里市 「名前を貸しただけ・・・でも支払わなくてはいけないの?」の巻き
お金を借りに来るだけでなく、人のカードの枠まで使おうとする。その時点で、店の資金繰りはかなり苦しかったのだと思います。
| 確かめたこと | 確かめていなかったこと |
|---|---|
| 同じ分野で、先に独立している | その商売が、いま回っているか |
事業の資金繰りのために人からお金を借りるということは、その時点で資金繰りが回っていないということです。 相談していた時点で、気づけたはずでした。
「すでにやっている」と「うまくいっている」は別。
やっていることは確かめても、回っているかどうかは確かめていなかった。
この件があってから、人にお金を貸すのは、返ってこなくても困らない額までと決めています。 貸すのをやめたわけではありません。金額を決めただけです。 そう決めておくと、頼まれたときに断るかどうかで悩まなくて済みます。
もう一つ決めています。お金が返ってこなかった相手からの仕事や頼みごとは、次からはできるだけ断ります。 これは、業者との付き合いでも同じです。
そして、カードや名義は、人に使わせません。支払いの義務は、名義人の自分に残るからです。
そして、誰かに商売の相談をするときは、その人が何で稼いでいるかを先に見るようにしています。 見方は 誰の話を聞くか にまとめました。